『子らの宵ぼれ』 丸山宏子
岳書館 令和6年10月20日発行
小林貴子選 15句
狂言のごわすごわすと山の藤
夏雲や浮桟橋の進みさう
ピザ店の幌の張り出し冬木立
面輪板家族の多き家に嫁し
河骨やぱさぱさぱさと俄雨
面打ちの一打に春の動きけり
蟬の羽化子らの宵ぼれ許されよ
青葉騒リーチの皿の兎どち
噴水の高きに我の揺れてをり
寒月やふつと癋見の戯け顔
月白や辻に少年占師
鳴き出す蟬に覚悟のやうなもの
振り向かず真つ直ぐに行け梅真白
流れ行く雲に手を挙ぐ捨案山子
こんこんと湧く水手斧始かな