『岳俳句鑑(たけはいくかがみ)』
発行所:岳書館
発行日:2023年4月30日
人が生きるとは、すべての人が自分だけの生き方を模索することである。独創とは生き方の問題に深く結びついている。しかし、いかなる人であっても、砂漠の真ん中で一人で生きることはできない。人と交わりながら生きる以外に生きられないであろう。そうであるならば、だれもが似た生き方を模索しながら、人が求める最良の生き方を探す以外に生き方はないのではないか。表現者として最も厳しい短詩型の文学に携わる俳人はことばで、誰もが感じていながら、気が付かない、気が付いてもそこまで深めることができなかった領域までことばを生き届かせることができれば、それが「独創」であろう。
―「はじめに―なぜ俳句か」(宮坂静生)より