句集『硝子の時間』篠遠良子
本阿弥書店 2025年1月20日発行
自選12句
春の吾子銀の折鶴持ち歩く
骨壺に入る春色の喉仏
水笛の鳥にみづ差す夜店守
恋心ぐらぐら田水沸きにけり
真夜中は硝子の時間水中花
桜蘂降るや逝く人耳聡き
素手といふ纏はざるもの手毬つく
毛氈に鳥影走る立子の忌
滴りの途絶えて数へきれざる死
遠青嶺脚立自在にカメラマン
草刈や掌といふ固きもの
木曽馬も男も枯れてゆく中に