『俳句表現 作者と風土・地貌を楽しむ』宮坂静生
出版社 平凡社
発売日 2024/5/27
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『岳俳句鑑(たけはいくかがみ)』
発行所:岳書館
発行日:2023年4月30日
人が生きるとは、すべての人が自分だけの生き方を模索することである。独創とは生き方の問題に深く結びついている。しかし、いかなる人であっても、砂漠の真ん中で一人で生きることはできない。人と交わりながら生きる以外に生きられないであろう。そうであるならば、だれもが似た生き方を模索しながら、人が求める最良の生き方を探す以外に生き方はないのではないか。表現者として最も厳しい短詩型の文学に携わる俳人はことばで、誰もが感じていながら、気が付かない、気が付いてもそこまで深めることができなかった領域までことばを生き届かせることができれば、それが「独創」であろう。
―「はじめに―なぜ俳句か」(宮坂静生)より
『俳句鑑賞 1200句を楽しむ』 宮坂静生 編著
発行:2023年5月25日
発行所:平凡社
俳句の面白さは、謎解きにある。五・七・五音の十七音による最短の定型詩を読んで楽しいのは、意味がわかり、同時に映像があざやかに浮かぶからだけではない。作者が読者にさりげなく掛けた謎が理解され、謎を解くスリルを味わうことにある。謎は一瞬の驚きから、よく考えて納得する謎までさまざまである。ときには、これはなにか、と謎掛けを話題にしたり、中には謎がないことを不思議がったりする。そのような俳句の謎解きの楽しみを本書でじっくりと味わっていただきたい。(「はじめに」より)
句集『澪杭(みおぐい)のごとく』 幹 自聲(かん・じせい)
発行:令和5年2月14日
発行所:株式会社 文學の森
自選15句
底なしにあをき空あり風花す
朱鷺の首雪降るたびに黒くなり
束風や上路の山の潮まみれ
堅雪を朱に芽鱗のおびただし
水鳥の鋭きこゑを地震の刻
熱燗や廃炉作業に出稼ぎと
除染済確認せんと巣箱掛く
朧夜や狂はぬやうに水を呑む
親不知海より揚がる蟬のこゑ
慰めん夏野へ墜ちし魂ふたつ
蔓荊の香に清貧の月日かな
黄落や死ぬるまで今日積み重ね
鉛筆に詩嚢宿るや霜の夜
灯りて澪杭のごと枯野宿
気嵐の黄金色や立山より暾