句碑紹介
はらわたの熱きを恃み鳥渡る 静生
2023年5月21日千曲市の龍洞院にて、ご来賓の方々をお迎えし、宮坂静生主宰をはじめとする岳俳句会関係者、「岳」誌友らが集まり宮坂静生句碑除幕式が開催され、南澤道友ご住職による修祓が執り行われました。
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「感謝のことば」(宮坂静生)より
句碑の俳句は平成九年、六十歳の作です。「鳥渡る」は秋に鳥が北から南へ渡る光景です。鷹の渡りに象徴される三千キロの彼方へ飛翔する鳥は、たよりにするのはおのれの「はらわた」一つ。(中略)
この年は四月に信州大学医療技術短期大学部(三年制)部長に選ばれ、四年制大学に昇格させるための課題を六年間背負う初めての年でした。
生来の悠長な性分から、気負ったわけではありませんが、鳥の渡りに必死なものを感じ、それとなく生涯のエポックを意識した年でした。
ときに爽やかな五月、私は鳥の鳴き声を聞くにつけ、暮らしの中の音楽もダンスも飛行もみんな鳥から教えられたことを思い、鳥にも感謝して、お礼のことばといたします。
「永遠への飛翔」(岳事務局長 堤保徳)より
宮坂静生主宰の句碑建立は、われわれ岳会員の長年の夢でありました。(中略)われわれは、嬉しいにつけ、悲しいにつけ、ふっと訪れたくなる故郷のような存在として、敬愛する主宰の句碑が欲しかったのです。
岳が四十五周年を迎えるにあたって、われわれは改めて、主宰に句碑建立を粘り強くお願いし、この度ついに実現した次第です。
建立の場所がまた素敵です。名刹・龍洞院という主宰の菩提寺であること、姥捨伝説や田毎の月などで知られた心のやさしい地であること、古今集や更科紀行に詠まれた歌枕であることです。
そこへ主宰の句碑が今日加わったのです。これから永遠に続く新たな伝説の始まりです。
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龍洞院参道には登録有形文化財「龍洞院架道橋」(煉瓦造単アーチ橋)があります。明治時代の構造物です。この橋の下のトンネルを抜けて階段をのぼると、龍洞院の御堂があります。
宮坂主宰の句碑を訪れるとともに、龍洞院(1504年建立)の折々の風景を堪能し、千曲川を眼下に見下ろす美しい景色を味わいながら、心豊かなひとときをお過ごしください。